ぴぴぴ、とアラームが鳴るのを無感動に聞いた。
ああ、アラームが鳴ってるんだな。
起きなきゃ。
学校に遅刻しちゃう。
『優勝者は、23番 〜。おめでと〜!』
起きなきゃ。
こんな悪夢を見てる場合じゃないよ。
修学旅行あけたら、テニスの試合が待ってる。
『おめでと〜!』
地区大会に出るんだ。
まず、それに勝たなきゃ。
今年こそは勝ちたいね、って。
肩を壊してマネージャーになったあの子に、絶対全国行くよ!って約束したのよ。
『〜。お前が残ってくれて、先生は嬉しいぞぉ〜』
起きなきゃ。
起きなきゃ。
抓って痛かったら夢じゃないって、あれ、嘘よ。
だって、こんなにズキズキするのに。
なにもかもが痛いのに。
『、学校まできてください〜』
「あははははははははははははっはははっはははははははっはははっは」
なにこのリアルで生臭いよ血って雨が降った後の鉄棒の匂いがするんだああだから鉄の味とか言ってるんだ鉄分ふくんでるんだっけ血の海って絵だと綺麗だなと思うのに本当はこんなに黒くて汚くてやだなぁわたしにもこんな物がながれてるんだ映画なんかでみる死体ってマネキンみたいでリアルじゃないよって笑ってたけど本物のほうがもっとリアルじゃないねなにこ
の ぶ よ ぶ よ し た ま ね き ん は あ あ な ん だ そ う か わ た し の
と も だ ち だ く ら す め い と だ
『、学校まできてください〜』
「あははははははははははははっはははっはははははははっはははっは!!!!!!!!!!!!」
な ん て せ か い は き れ い な ん だ ろ
「、どうしたの?」
「不二くん?」
「窓の外を見て、ぼーっとしてたから」
「ああ、うん」
「何か面白いものでもあった?」
「うん」
「なに?」
「戦車」
「え?」
「軍人さん」
「?」
「・・・・不二くん、トンネルだよ」
「・・・・おやすみ。ごめんね」
トンネルに入った瞬間、みんなは懇々と眠りについた。
となりの不二くんも、眠りについた。
軍の人が、バスに乗ってきた。
この睡眠ガスが効かない私は、それを無感動に眺め、
「青学、ファイ、オー・・・」
小さく呟いて、軍の人に連れられていった。
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