+++さんきょうけ(三強家)











*注 題名からお気づきかも知れませんが「みなみけ」のパロディーです。
カナ=精市、ケイコ=蓮二、藤岡=弦一郎、です。カナは馬鹿野郎日本代表なので、厳格で優しい幸村像をお持ちの方は嫌いかもしれません。






 教壇で受け取った時から、ぎゅっと握って伏せておいたテスト用紙を、恐る恐る開いてみた。



「お」



 65点。



「なんだ、意外に大丈夫じゃないか」



 中学に入って、初めての中間試験。

 小学校の時とは形式が違って、若干不安だったが、勉強してないし、大嫌いの国語の割に良い点数じゃないか。



「おい、蓮二。国語のテストどうだった?」



 近くの席で、テニス部で仲良くなった柳蓮二に話しかける。

 俺と同じくらいの髪の長さだが、俺と違ってサラサラなストレートを持つ彼は、目が開いているかどうか分からない顔をしている(こう言うと変な顔みたいに思われるかも知れないが、そんなことはない)。

 俺の声に振り向いた蓮二は、どこを見ているか分からない目で俺を見た(こういうとおかしな人みたいに思われるかも知れないが、俺は国語が嫌いだから上手く説明できないんだよ)。



「精市は?」

「65点だ!赤点覚悟だったけど、まあまあだな」

「そうだな」



 どこを見ているか分からない目が、相づちを打ちながら俺から視線を若干外したように感じた。



「で、蓮二は?」



 強調して詰め寄ると、蓮二は完全に明後日を向いた。



「100点だ・・・」







「ああ?100点中100点?百発百中ってこと?ノーミスってこと?パーフェクトってこと?」



 蓮二はこちらを見ない。


「実につまらん!なんておもしろくない点数だ!」


 びし!と指を突きつけて叫ぶと、蓮二の体がびくっと震えた。



「そんなに読解が得意なら辞書にでもなればいい。この国語辞典め!」

「精市・・・・」



 蓮二が悲しそうにこちらを振り向いた。



「それに比べ65点・・・なんて人間らしい数字なんだ・・・。
 辞書に喧嘩を売ってもつまんないな。誰か勝負になりそうなやつは・・・」

「おい、精市。国語のテストどうだったのだ」



 対戦相手を探している俺に声を掛けてきたのは、真田弦一郎だった。

 彼もテニス部で知り合った一人だ。

 出会った当初はそうでも無かったのだが、だんだん真面目を絵を描いたような顔になっていって俺は心配だ。



「来たな弦一郎!また俺に勝負を挑む気か!」

「む、何の話だ?」

「さあ何点で勝負するんだ?言ってみろ」

「なんだ?勝負?そんなつもりで聞いた訳じゃないぞ。・・・大きい声で言えないが66点だった」



 俺は蓮二に泣きついた。



「弦一郎・・・そこまで言わなくてもいいだろう・・・」

「なに?俺は何か悪いことでも言ったのか?」



 とぼける弦一郎。

 大きな声で言えない点数に負けた俺のテストってなんだ!



「いや、まだ・・・勝負は終わっていない!」



 俺は立ち上がった。



「次のテスト返却は・・・英語か。英語のテストの点で勝負だ!」



 俺も英語は苦手だが(国語ができなくてどうして英語ができるか)弦一郎も顔からして苦手と見た。

 うん、俺ながらフェアな勝負だ。

 弦一郎は、状況が読めないという顔をしながら「まあ、いいが・・・」と頷いた。



「じゃあ、罰ゲームを決めよう。負け犬は犬の真似をするっているのはどうだ?」

「おい、精市・・・そんなこと言って大丈夫なのか?」

「よし、受けて立とう」

「弦一郎、お前も・・・」

「逃げるなよ。お手とかさせてやるからな」






 61点。

 返却されたテストの一番上に赤々と輝く数字は国語より低かった。

 まあ、日常で使わない分国語より難しくて当たり前。勉強してない割に以下略。



「まあ、こんなもんか。ちなみに蓮二は?」

「ひゃくてんだ・・・」

「アメリカにでも行けばいいよ」

「精市・・・」



蓮二が悲しそうな声を上げる。



「61点・・・人間味溢れる素晴らしい点数なんだけど・・・さっきは65点だったしな・・・」



 俺は、筆箱から先生が使っているような赤ペンを出して「1」の右下の部分に半円を付け足して「6」に変えた。



「そういや、弦一郎はさっき66点だったな」


 さらに「6」の左上に半円を付け足して「8」に改ざんする。

 ちょうど変え終えた頃、テストを持った弦一郎がのこのこ現れた。


「精市、どうだった?」

「来たな弦一郎。まずお前はどうなんだ」

「む。あまり大きな声で言えんが・・・69点だった」



 俺は蓮二に泣きついた。



「その様子だと俺の勝ちのようだな」


 蓮二の胸に顔を埋めながら、弦一郎が少し嬉しそうに笑ったのが見えた。

 むか。


「勝負は勝負だ。罰ゲームを受けてもらうぞ。・・・精市、お手」

「おてぇぇえええええぇぇ!!!!」



ごっ!!



 俺は下段から上段に向けて蹴りをぶちかましてやった。

 俺の蹴りは、油断していた弦一郎の手を顎と共に砕いてやった。



「精市・・・それは、足だ・・・」



 床に転がって呻く弦一郎に、俺は机の上に乗って宣言する。



「前足って言うくらいだから、手だって足だ!足だって足だ!」

「な、何を言っているんだ・・・」

「正確なところ、精市は『足だって手だ』と言いたいのだろう。大丈夫か、弦一郎?それと精市はさっさと机から降りろ。乗るなら自分の机に乗れ」



 最終的に調子に乗りすぎた俺は柳に怒られてしまった。



















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拍手ありがとうございました!
個人的に立海メンバーは国語が苦手そうな気がします。(柳と柳生は例外)
あと、中一の時は、まだ真田も子供だと思うのです。きっと。